#4「一歩も食べられない」?「ne~pas」

雑学コラム

「pas」パ は元々は否定ではなかった?

「もう一歩も歩け~」~る?~ない?

フランス語で否定を表す言葉はne pas
下の例題のように動詞をneヌとpasパ ではさむとその動詞の否定形を作ることができます。
 例)Je ne sais pas. ジュ ヌ セ パ「わたしは知らない」

ただ会話のときなどは次のようにneヌ を省略する場合がよくあります。
 例)Je sais pas. ジュ セ パ「わたしは知らない」
他にも会話でよく使う「pas le choix」 パ ル ショワ「仕方ない」、 「pas du tout」 パ デュ トゥ「全然ない」といったフレーズもneヌを使わずpasパ だけで否定を表しています。
でも実は元々否定を表すのはneヌ だけでpasパ という言葉自体は否定を表すものではなかったそうです。

名詞としてのpasの意味は「歩、歩み、足音」など歩くことに関係します。(ちなみにpasと関連が深い単語にはpasser パセ「通る」やpassage パサージュ「通行、通路」などがあります。)

ではなぜpasで否定を表すようになったのでしょうか?
例えば「もう歩けない」と言うよりも「もう一歩も歩けない」と言う方が歩けない感が強いですよね。フランス語でも歩けないことを強調するためにnepasを付けるようになったそうです。(日本語の「一歩も歩けない」と同じような使い方ですね。)
始めは歩くこととか移動に関係する動詞を強調するためにpasを付けていたようですが、次第に関係ない動詞にもpasを付けるようになり、現在では定着して大体の単語に付けるようになったようです。

そう考えると今は逆にneの方が省略されるようになっているのはなかなか興味深いですね。
日本で考えると「ない」を省略して「もう一歩も歩け…」って言うような感じでしょうか?

【注意】
・副詞として使われるpasは否定を表し、名詞として使われるpasは「歩」などの意味になります。

「一人も~」「これ以上~」「何一つ~」「誰も~」「かつて一度も~」「これしか~」

さてフランス語学習感が強くなりますがここでpas以外でneとセットになる単語を考えてみましょう。

まずはpersonne ぺルソンヌ、名詞としての単語の意味は「人」。
neを付けると「誰も~ない」の意味になります。イメージとしては「一人も~ない」っていう感じですかね。
 例)Il n’y a personne. イルニャ ぺルソンヌ「誰もいない」

plus プリュス は「もっと、さらに」という意味で、neとセットになると「もうこれ以上~ない」。(ちなみに発音としては基本的にneとセットの場合は最後のsを発音せず plus プリュ と発音します。)
 例)Il n’y a plus de pain. イルニャ プリュ ドゥ パン「パンがもうない」

rien リヤン は文語的には「何か」という意味。現在ではneとセットで「何も~ない」になります。「何一つ~ない」のイメージですかね。
 例)Il n’y a rien à manger. イルニャ リヤン ナ マンジェ「食べるものが何もない」

aucun オカン/aucune オキュヌ は文語的には「誰か、何か」という意味。neとセットで「誰も~ない、どんな~も~ない」
 例)Il n’a aucun charme. イルナ オキャン シャルム「彼にはどんな魅力もない」

jamais ジャメ は「いつか、かつて」という意味もありますが、neとセットで「決して~ない、一度も~ない」となります。イメージとしては「いつかなんてない、かつて一度もない」という感じでしょうか。
 例)Il n’y a jamais eu de fleurs à cet arbre. イルニャ ジャメ ウー ドゥ フルール ア セッタルブル「この木には今まで一度も花が咲いたことがない」

便利なのはque クneとセットで「~しか~ない」。下の例文もよく耳にします。
 例)Il n’y a que ça. イルニャ ク サ「これしかない」

●ne ~ personne ぺルソンヌ 「誰も~ない」
●ne ~ plus プリュ 「もうこれ以上~ない」
●ne ~ rien リヤン 「何も~ない」
●ne ~ aucun オカン/aucune オキュヌ 「誰も~ない、どんな~も~ない」
●ne ~ jamais ジャメ 「決して~ない、一度も~ない」
●ne ~ que ク 「~しか~ない」

雑談コラムなのに今回は色々難しいことを書いてしまいましたね。。。

ちなみにこれらの言葉は組み合わせによっては “ne ~ plus + rien”のように複数同時に使うことも出来ます。
(* 基本的に”ne ~ pas ” は単独で使いますが “ne ~ plus + 〇〇” の形は使うことが多いです)

Bon, il n’y a plus rien à écrire dans cet article.
「さて、この記事に書くことはもうこれ以上何もなくなりました。」

コメント

タイトルとURLをコピーしました