間違えやすいフランス語①
マント
「コンクール」「アトリエ」「パラソル」…日本でも使われているフランス語はいっぱいありますね。今回はそれらの中でもなんだか間違って理解されていることの多い言葉について考えてみましょう。
例えばmanteau マントという言葉があります。皆さんは「マント」と聞くとどんなものを想像しますか?ひょっとしたらスーパーヒーローや中世の貴族が付けているヒラヒラの布をイメージするかもしれません。「家にマントあるよ」と言う方はあまりいないかもしれませんね。
でもたいていのフランス人は普通にmanteau マントを持っています。
へー、ヨーロッパだしパーティー用かな?いえいえ冬は毎日使います。
なぜならフランス語のmanteau マントとは「コート」のことだからです。(逆に日本で言う「マント」はフランス語ではcape カプと呼ばれます。日本で言う「マント」はさすがにあんまり持ってないと思います。)

こんなふうに日本で一般的に使われている意味と実際のフランス語の意味が違う言葉がいくつかあるのでご紹介したいと思います。せっかくなのでクイズ形式で考えてみましょう。全問正解できるでしょうか?
エチケット
まずはétiquette エチケット。これは普通に礼儀作法としてのエチケットという意味もあります(ただ一般的なマナーと言うよりも政治の場とか宮廷とかでの礼儀作法のことだそうです。)
このétiquette エチケットという言葉、「礼儀作法」という意味以外でとてもよく使われる別の意味があります。一体どういう意味でしょう?

答えは「服のタグ」「ラベル」「値札」などの意味で使われます。ワインなどに貼っているラベルもétiquette エチケットと言います。諸説ありますが、元々フランスの宮廷内での禁止事項を書いたものをétiquette エチケットと言っていたらしく、その後情報などを表記した札やラベルもétiquette エチケットと呼ばれるようになったそうです。

ポタージュ
続いてはpotage ポタージュ。日本だとポタージュと聞くとジャガイモとかかぼちゃとかをミキサーしたとろみのあるスープを連想するかもしれません。フランスではどんな意味があるのでしょう?

答えは「スープ」です。
「え?日本語と一緒じゃない?」と思われるかもしれませんがフランスではコンソメスープみたいなとろみのないスープのこともpotage ポタージュと呼びます。
そもそもpotage ポタージュの「pot」ポは「鍋」とか「壺」などを意味するpot ポ です。「鍋で煮たもの」→「スープ」ということなのでしょう。
またpotager ポタジェという言葉が「菜園」を表すため「野菜のスープ」をイメージするフランス人も多いみたいですね。
ムニュ
せっかくなので食事関連でもう1問。「ムニュ」です。「「ムニュ」なんて言葉、日本では擬音以外で聞いたことないなあ」と思われたかもしれませんが、アルファベットで書くとこうです。「menu」、メニューのことですね。
フランスのレストランに行ったことがある方は、この「menu」ムニュの使われ方に戸惑われたんではないでしょうか?いわゆる日本のレストランの机に置かれる小冊子の「メニュー」とは違う使われ方が多いです。一体どういう意味なんでしょう?

答えは「定食」「コース料理」と言った意味があります。ランチセットみたいなセットメニューのことですね。だいたい単品で頼むよりお得になります。
レストランに置いてある看板などの献立表のこともmenuムニュと言いますが、日本で言う全部の品目が書かれた小冊子のメニューは一般的にcarte カルトと呼ばれることが多いですね。セットではなく単品で注文することは「à la carte」ア・ラ・カルトと言います。
なのでフランスのレストランで小冊子のメニューが欲しくて「 Vouz avez le menu ?」ヴ・ザヴェ・ル・ムニュ?「メニューありますか?」と聞くとセットメニューを紹介されることが多いので気をつけましょう?

さてクイズの途中ですが少し長くなりそうなので、続きは次回にしましょう。ではでは。
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