#12 フランス語の「さようなら」ランキング?アデューは圏外?

雑学コラム

フランス語でさようなら

「フランス語で「さようなら」って何て言うの?」
よく聞かれる質問ですが、わたしはけっこう答えに迷います。
基本的にはいつでも使える「au revoirオ・ルヴォワールが「さようなら」の意味なのですが、わたしの体感では少なくともパリではそこまで使われていない気がします。(パリ以外だと分かりませんが…)

ちなみにフランス語の「r」は日本人にとっては聞き取りづらいため「au revoirはカタカナで書くように「オ・ルヴォワール」とは聞こえません。オーバーに言えば「オーヴァ」と聞こえます。

さて、ではフランス人は別れる時に何という事が多いのでしょうか?
答えは状況によります。
その状況とは大きく分けて以下です。
①相手と次に会うのがいつか?(「à~」を使う)
②その後相手が何をするか?(「bon~」を使う)

ではそれぞれを詳しく考えてみましょう。

①相手と次に会うのがいつか?(「à~」を使う)

別れる時は「次に会う時」を言う事が多いです。
例えば次の日会うなら「à demainア・ドゥマンと言います。
「à」ア は「~に」を意味する前置詞でdemainドゥマンは男性名詞としては「明日」という意味です。イメージ的には「また明日会おうね」という感じでしょうか?
このように「à」ア +「次に会う時」でさようならを表します。(「à」ア は後に「le」ル が来る場合「au」オ に変化します。)
シチュエーションが多すぎるのでここではごく一部を例としてあげますね。

【すぐ会う時】
「à tout à l’heureア・トゥッタ・ルール
「tout à l’heureトゥッタ・ルール「もうすぐ」「さっき」)
 イメージ:「また後で」

・「à plus tard」ア・プリュ・タール
plus tardプリュ・タール「後で」
 イメージ:「また後で」

【その日の特定の時間に会う時】
「à ce soirア・ス・ソワール
soirソワール「夜」「夕方」
 イメージ:「また今晩」

【次に会う日などが決まっている時】
・「à lundiア・ランディ
lundiランディ「月曜日」
 イメージ:「また月曜日」

・「à la semaine prochaineア・ラ・スメーヌ・プロシェンヌ
semaine prochaineラ・スメーヌ・プロシェンヌ「来週」
 イメージ:「また来週」

【次に会う日が決まっていない時】
「à bientôt ア・ビヤント
bientôtビヤント「まもなく」
 イメージ:「また近いうちに」

「au revoirオ・ルヴォワール
revoirルヴォワール「再会」
 イメージ:「また会う時に」
*「à」ア+「le」ル →「au」オ に変化

・「à la prochaine foisア・ラ・プロシェンヌ・フォワ
prochaine foisプロシェンヌ・フォワ「次回」
 イメージ:「また今度」

②その後相手が何をするか?(「bon~」を使う)

別れの言葉のもう一つのパターンは別れた後に相手が過ごす時間や相手がすることに対して「がんばって」とか「楽しんで」という場合です。
bon ボン もしくはbonne ボンヌ +「その後すること(過ごす時間)」の形になります。
bon ボン は「良い」という意味の形容詞の男性形、bonne ボンヌ は女性形です。)

例えば金曜日の仕事終わりだったらbon week-endボン・ウィケンドゥ と言って別れる事が多いです。bon ボンは「良い」、week-end ウィケンドゥは「週末」という意味なのでイメージとしては「よい週末を過ごしてね」と言ってる感じですかね。

【日中に別れる時】
bonne journéeボンヌ・ジュルネ
journéeジュルネ「1日」「日中」
 イメージ:「よい一日をお過ごしください」

【夕方~夜に別れる時】
bonne soiréeボンヌ・ソワレ
soiréeソワレ「晩」「夜」
 イメージ:「よい夜をお過ごしください」

【長期休暇前に別れる時】
bonnes vacancesボンヌ・ヴァカンス
vacancesヴァカンス「休暇」「バカンス」
 イメージ:「よいバカンスをお過ごしください」

【相手がこれから家に帰る時】
bon retourボン・ルトゥール
retourルトゥール「帰ること」
 イメージ:「気をつけて帰ってね」

③その他

①②のパターンの他にも「ciao」チャオ とか「bye-bye」バイバイ とか「bye」バイ のように外国語の「さようなら」を使うことも多いです。

結局どれがよく使われるの?

さあ色々なパターンの「さようなら」を考えてきましたが、結局どの「さようなら」がよく使われるのでしょうか?ランキングでも作りたかったのですが、残念ながら答えは「人による」です。

例えば金曜日の仕事後に別れる時は、「週末を過ごすこと」に重きを置けばbon week-endボン・ウィケンドゥ ですが、「来週の月曜日にまた会うこと」に重きを置けば「à lundiア・ランディになります。
なんとなくバカンスに入る前はさすがにbonnes vacancesボンヌ・ヴァカンス と言って別れる人が多い気がします。インパクトのあるイベントの前は「bon + 〇〇」を使うことが多いのかもしれません。

「アデュー」はほぼ使わない?

さてみなさん「アデュー」という言葉を聞いたことがありますか?おそらく日本で一番有名なフランス語の「さようなら」ではないでしょうか。
でも一般的にフランスでは「adieu」アディユー(アデュー) はめったに聞きません。(わたしは今まで聞いたことがないかもしれません。)
では「adieu」アディユー は一体いつ使うのでしょうか?

答えは「もう二度と会わないかもしれない人との別れ」の時に使います。「adieu」アディユー は「à」ア とDieuディユー「神」を合わせた言葉です。「次に会う時は神の前だね」というイメージなのかもしれません。頻繁に会える人にはまず使わない「さようなら」です。
なのでフランス語の「よく使うさようならランキング」を作ったとしても多分「adieu」アディユー は入ってこないでしょう。(地域によってはよく使われるところもあるそうですが。)

今回は色々な「さようなら」を考えました。
その言語で表現が多い言葉は重要視されている言葉だと言われますがフランス語では「人との別れ」がとても重要視されているのかもしれません。

それではみなさん「à bientôt」! ア・ビヤント「また近いうちに」!

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