#27 アクサン記号に隠された暗号とは?

雑学コラム

フランス語のアクサン記号(アクセント記号)

フランス語のアルファベットは基本的に英語のアルファベットと同じなのですが、「à」とか「ç」とか「ô」のように見慣れない記号がくっついている文字があります。
これらはアクサン記号(アクセント記号)と呼ばれています。

アクサン記号の主な役割は「発音を区別」したり、「同じ音の単語の意味を区別」することですが、実はこのアクサン記号には「暗号が隠されている」ものがあります。
暗号の前に、まず「発音の区別」や「意味の区別」について考えてみましょう。

発音の区別

例えば「e」「è」「é」「ê」「ë」は発音が違います。

「e」の発音はスペルによって変わります。
口を開いた「エ」だったり、鋭い「エ」だったり、軽い「ウ」だったり、何なら発音しなかったりします。慣れるまではなかなかややこしいかも知れません。

・右下がりの点accent grave アクサン・グラーヴが付いた「è」の発音は口を広く開けて出す「エ」です。(grave グラーヴは「重大な」とか「低い」という意味の形容詞です。)

・右上がりの点accent aigu アクサン・テギュが付いた「é」の発音は口を狭く開けて出す「エ」です。(aigu エギュは「鋭い」という意味の形容詞です。)

・帽子のような記号accent circonflexe アクサン・シルコンフレックスが付いた「ê」の発音は「è」と同じく口を広く開けて出す「エ」です。(「circon~」は「周囲に」というイメージの接頭辞で「flexe」は「曲げる」のイメージです。「周りについている折れ曲がった記号」のようなイメージですかね。)

・上に2つの点trémaトレマがついた「ë」は母音が続いたときに隣の母音と分けて発音します。「ë」が付く言葉はあまりありませんが、例えばNoëlノエル「クリスマス」の時は口を開いた「エ」で、canoëカノエ「カヌー」の時は鋭い「エ」で発音します。

こうやって考えるとアクサン記号が付いている方が何も記号が付いていないよりもどう発音したらいいのかはっきりしていて分かりやすいですね。

同じ音の単語の意味の区別

アクサン記号には「同じ音の単語の意味を区別する」という役割もあります。

例えば「ou」ウ と「où」ウ は発音は同じですが意味は違います。
アクサン記号なしの「ou」ウ は「または」「あるいは」という意味の接続詞になります。そして「u」にaccent grave アクサン・グラーヴが付いた「où」ウ は「どこに」という意味の副詞になります。
発音が同じなので話す分には分かりませんが、文字で見るとどちらの意味を表しているのかよく分かります。(日本語でも「お」と「を」は発音は基本的に同じですが文字で書くときには違う字にして書き分けていますね。)

アクサン記号に隠された文字

文字を省略したことを示す

さて、ではアクサン記号に隠された暗号について考えましょう。
アクサン記号がついた文字の中には「ある文字」が隠れている場合があります。いくつか例を挙げてみましょう。

hôpital オピタル「病院」など
fête フェットゥ「お祭り」「パーティー」など
forêt フォレ「森」など

どうですか?英語と比べてみるとある文字が足りないことに気づきませんか?
いったい何の文字が足りないのでしょう?

答えは「s」の文字でした。

hôpital オピタル「病院」は英語で「hospital」ホスピタル(*フランス語では「h」は発音しない)
fête フェットゥ「お祭り」は英語で「feast」フィーストや「festival」フェスティバル
forêt フォレ「森」は英語で「forest」フォレスト

比べてみると英語と比べると「s」の文字が足りないことが分かります。

フランス語と英語はどちらもラテン語から派生している単語が多くあります。上記の単語の由来となったラテン語は何だったのでしょう?(語源は諸説あります。)

・ラテン語「hospes」「客人」など→ hôpital オピタル「病院」
・ラテン語「festa」「祭り」など→ fête フェットゥ「お祭り」
・ラテン語「forestis」「森」など→ forêt フォレ「森」など

つまりこれらのアクサン記号は「由来になった単語から「s」を省略したよ」ということを表すために付けられています。(「accent circonflexe」 アクサン・シルコンフレックスがこの意味で使われていることが多いです。)
上記の例以外でも下記の単語などがあります。(分かりやすいように英語と比較しています。)

pâte パトゥ「生地」「めん類」など
  (「pasta」パスタから「s」を省略)
rôti ロチ「ロースト肉」など
  (「roast」ローストから「s」を省略)
hôte オトゥ「主人」「ホスト」など
  (「host」ホストから「s」を省略)
île イル「島」など
  (「island」アイランドから「s」を省略)
bête ベットゥ「獣」など
  (「beast」ビーストから「s」を省略)

頭に「e」を追加して「s」を省略するパターン

accent circonflexeアクサン・シルコンフレックス以外だとaccent aigu アクサン・テギュの付く単語、étoile」 エトワール「星」はラテン語の「stella」に由来していると言われています。のちにその単語の頭に「e」が追加され、そこから「s」が省略されてétoileエトワールになったとも言われています。ちなみに英語では語源から素直に「star」スターになったようです。

同じようにécole」 エコール「学校」もラテン語の「schola」に由来し、のちに頭に「e」が付き、そこから「s」が省略されたと言われています。英語だと「school」スクールですね。

なんだかどちらも「s」に一度「e」を足して「es」にして、その後「s」を省略して「é」にしていますね。別の文字をひとつ足して元々あった文字を省略するってなんだか二度手間な感じですね。
(フランス人は「s」の発音が苦手だったため「s」を「エス」と発音して、それを文字にしたら「es」になったという説もあります。しかもそこからさらに「s」を引いているので、この説が本当なら相当「s」の発音が苦手だったんでしょうね。)

さあ今回はアクサン記号に隠された暗号について考えました。
もし今度知らない単語にアクサン記号が付いていたら一度「s」をつけてみましょう。聞き覚えのある単語になるかもしれませんよ。(特にaccent circonflexeアクサン・シルコンフレックスのときは試す価値ありだと思います。)

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