#23 ライバルの語源は川?

雑学コラム

川や岸に由来するフランス語色々

「rivière」リヴィエール

フランス語で川のことをrivière」リヴィエール と言います。あまり日本では聞きなじみがないので覚えにくそうですがスペルをよく見ると英語の「river」リヴァー に似ていることが分かります。
「river」リヴァー の語源は古いフランス語だとも言われているので似ているのも当然です。

せっかくなので今回はこのrivièreリヴィエール という単語を使ってフランス語の関連単語を覚えてみましょう。中には意外なものもありますよ。

「rive」 リヴ

この「riv~」には(川)とか(岸)といったイメージがあります。
例えばパリをセーヌ川で二つに割ったときに一方をパリ右岸「rive droiteリヴ・ドロワットゥ、もう一方をパリ左岸「rive gauche リヴ・ゴーシュと呼びます。このrive」 リヴ という単語はそのまま「(川の)岸」という意味があります。

さてここでミニクイズです。
パリ市内を流れるセーヌ川の向きは西向きでしょうか?それとも東向きでしょうか?

答えは西向きです。
ですから流れていく方を向いたときに右側に来る方(パリの北側)がパリ右岸になり、左側に来る方がパリ左岸になります。

ちなみにセーヌ川はディジョンの北西から始まりル・アーヴル付近で海に出ます。フランス語では海にそそぐ大きな川のことはrivièreリヴィエール ではなくてfleuve フルーヴ と言うのでセーヌ川はfleuve フルーヴになります。
(すごく余談ですがディジョンの南東に「Seine」セーヌではなく「Saine」セーヌと書く川があり、そちらはrivièreリヴィエール になるのでお間違えなく)

「rivage」 リヴァージュ

少し脇道にそれましたが、また「riv~」に戻ってきましょう。
「riv~」に男性名詞化の接尾辞 ~ageを付けるとrivage リヴァージュ という男性名詞になります。「海岸」という意味です。これは分かりやすく岸に関係がありますね。

「rival」リヴァル

面白いのは「rival」リヴァルです。カタカナ語でいう「ライバル」ですね。フランス語だと形容詞では男性形と女性形でそれぞれrival/rivaleリヴァル となり「競争相手の」という意味になります。名詞として考えるとこれも男性名詞と女性名詞でそれぞれrival/rivaleリヴァル となり「ライバル」という意味になります。
「ライバル」(川、岸)って一見関係がなさそうですね。でも川と言うのは昔から人々にとって貴重な水源で川を使用する権利というのは非常に重要なものでした。諸説ありますが多くの人たちが川の権利を争っていたことがこの「rival」リヴァルという言葉の由来になったと言われています。

「arriver」 アリヴェと「dériver」 デリヴェ

他にも意外なのはarriver アリヴェ「着く、到着する」です。
フランス単語の中でも使用頻度の高い重要な動詞です。「え?これも riv~ に関係があるの?」と思われたかもしれませんが、この単語を分割してみると「a + (r)river」に分けられることが分かります。a~ は(~へ向かって)を意味する接頭辞です。つまりイメージとしては(岸に向かっていく)(岸に着く)という感じですかね。

同じくdériverデリヴェ は「dé + river」と分けられますがdé~ は(逆)とか(分離)という意味なのでイメージとしては(岸から離れていく)という感じです。dériverデリヴェ には「(水流)を変える」、「コースを外れる」という意味があります。
面白い意味としては「~に由来する」という意味もあります。川が源流からどんどん枝分かれていくように単語がもととなる単語から少しずつ形や意味を変えていくというイメージなのかもしれませんね。

さあ、今回はrivièreリヴィエールに由来する単語を色々考えてみました。
由来を意識しながら単語を覚えると、記憶しやすいだけでなくスペルを見て意味が予想できる単語も増えてきます。では他にもこんなふうに「派生した」単語に注目してボキャブラリーを増やしていきましょう。
dérivé/dérivéeデリヴェ 形容詞 意味「派生した」

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